現在、40代で介護業界へ転職する人が増えています。
介護業界は深刻な人手不足に直面しているからです。2025年9月時点で全職業の有効求人倍率が1.10倍だったのに対し、介護関係職種の有効求人倍率は4.02倍と、全職業平均の約3.7倍にのぼります。これは求職者1人に対して約4件の求人がある計算で、他の職種と比べて圧倒的に仕事を見つけやすい状況です。
さらに厚生労働省の推計では、2025年に約32万人の介護職員が不足するとされており、2040年にはこの不足数が57万〜69万人規模まで拡大する見通しです。
こうした構造的な人手不足を背景に、介護業界は年齢よりも「働く意欲」や「長く続けられるか」を重視する採用姿勢が強まっています。40代というキャリアの節目で、安定した需要のある業界へ移ろうと考える人が増えているのはこのためです。
40代未経験からでも介護職に転職できるのか
結論から言うと、40代未経験からの介護転職は十分可能です。前述の通り介護業界の有効求人倍率は全職業平均の3〜4倍と高く、人材を求める事業所側にとって「未経験だから採用しない」という選択肢を取りにくい状況にあります。
ただし、都市部と地方では採用のしやすさに差があります。有効求人倍率は地域によって最大9倍以上の開きがあり、東京や愛知などの都市部では7倍を超える一方、地方では2倍前後にとどまります。都市部ほど人手不足が深刻で、未経験者にもチャンスが広がりやすい傾向があると言えるでしょう。
面接では年齢そのものよりも、「なぜ今、介護の仕事を選ぶのか」「長く続けられる体力・意欲があるか」「利用者や同僚と円滑にコミュニケーションが取れるか」といった点が重視されます。社会人経験を積んだ40代は、この「対人対応力」の面でむしろ評価されやすいとも言えます。
40代の介護転職で有利になる資格
介護職は無資格・未経験でもスタートできる求人が多い一方、資格を持っていると採用の選択肢や給与水準が広がります。代表的な資格は次の3つです。
- 介護職員初任者研修:介護の基礎を学ぶ入門資格。数週間〜数ヶ月で取得可能で、訪問介護の仕事に就く場合は必須になります。
- 実務者研修:初任者研修よりも専門的な内容を学び、たん吸引などの医療的ケアにも対応できるようになります。
- 介護福祉士:介護分野で唯一の国家資格。実務経験(3年以上など)を積んだ後に受験でき、収入アップやキャリアアップに直結します。
資格がなくてもデイサービスや施設の生活支援業務からスタートできる求人は多くあります。まずは資格なしで現場に入り、働きながら初任者研修を取得するというステップも現実的な選択肢です。
さらに介護福祉士として経験を積んだ先には、現場のマネジメントやケアプラン作成に携わるケアマネジャーという道もあります。40代からの転職であっても、こうした資格を段階的に取得していくことで長期的なキャリアアップが見込めます。
資格取得の順番や全体像に迷う場合は、介護資格の種類と取る順番|初任者研修からケアマネまでもあわせて読んでもらうと理解が深まるはずです。
40代介護転職のリアルな年収・待遇
気になる年収についても、具体的な数字で見てみましょう。
未経験スタートの給与目安としては、経験年数0年の介護士の所定内給与の平均が21万8,900円というデータがあります。これは初任給そのものではありませんが、未経験者が最初に想定すべき給与水準の目安になります。
経験を積んだ後は、月給制・常勤で働く介護士の平均給与が33万8,200円というデータもあり、直近の速報値では2025年7月時点でボーナスを含む平均給与が月34万1,340円まで上昇しています。(出典:福祉新聞)
さらに、2025年12月からは補助金による賃上げが先行して実施され、2026年6月の介護報酬改定では処遇改善加算の拡充によって最大で月1万9,000円(6.3%)の賃上げへと引き継がれました。介護業界は長らく「給与が低い」というイメージを持たれがちでしたが、国を挙げた処遇改善が続いており、今後も収入面の改善が期待できる業界と言えます。(出典:補助金ポータル)
雇用形態別に見ると、正社員は月給制で福利厚生も手厚い一方、パート・派遣は時給制で働き方の自由度が高いのが特徴です。家庭やライフスタイルに合わせて選べる点も、40代からの転職において魅力の一つです。
体力面の不安への対処法
「体力的についていけるか」は40代からの介護転職で最も多い不安の一つです。ただし、介護と一口に言っても施設形態によって体力的な負担は大きく異なります。
- 訪問介護:1対1のケアが中心で、身体介助の負担は施設より軽いケースが多い。移動が多いのが特徴。
- デイサービス(通所介護):日中のみの勤務が中心で、夜勤がなく生活リズムを維持しやすい。
- 特別養護老人ホームなどの入所施設:夜勤や身体介助の頻度が高く、体力的な負担は比較的大きい。
体力に不安がある人は、まず夜勤のないデイサービスや、身体的な負担が少ない生活相談員・事務職などから介護業界に入るという選択肢もあります。
40代からの介護転職を成功させるポイント
- 志望動機は「なぜ40代で、なぜ介護か」を明確に:これまでの社会人経験(接客、マネジメント、体力仕事など)が介護の現場でどう活きるかを具体的に伝えることが重要です。
- 転職エージェント・求人サイトの活用:介護業界専門の転職エージェントは、未経験者向け求人や資格取得支援がある求人を紹介してくれることが多く、一人で探すより効率的です。
- 面接でよく聞かれる質問:「体力面は大丈夫か」「夜勤は可能か」「なぜ介護の仕事に興味を持ったか」など。事前に自分なりの回答を用意しておきましょう。
40代介護転職の成功・失敗事例
成功パターンの例
前職での接客・マネジメント経験を活かし、利用者や職員とのコミュニケーションで評価され、早期にリーダー候補に抜擢されたケースなどがあります。
よくある失敗・ミスマッチの例
「体力的にきつい施設形態を選んでしまい早期離職した」「夜勤の負担を軽視して家庭との両立が難しくなった」など、事前の情報収集不足によるミスマッチが典型例です。
まとめ:40代からでも介護業界での転職は十分可能
介護業界の有効求人倍率は全職業平均の3〜4倍と高く、人手不足という構造的な背景から40代・未経験からの転職は十分に可能です。資格取得やキャリアアップによって年収を伸ばす余地もあり、処遇改善も国主導で進んでいます。自分の体力や希望する働き方に合った施設形態・雇用形態を見極めることが、転職成功のカギになります。
